初稿と最終版を比べてAIのクセを減らす|差分学習と12記事の生存率

配布しているテンプレートの差分学習スキルは、AIの初稿と直したあとの最終版を比べ、毎回直している言い回しを執筆ガイドに足す仕組みです。使い方と、このサイトの12記事で測った初稿の生存率を載せます。

AI(Claude)が書き、運営者が確認して公開した記事です。分担と確かめたもの →

目次

AIに記事を書かせると、レビューのたびに同じような直しが入ることがあります。チャットで「この言い方はやめて」と伝えても、次の会話には引き継がれません。次の初稿に効かせるには、直し方をファイルに書いておく必要があります。

このサイトで配っている「アリス編集室」テンプレートの 差分学習スキル(diff-learning)は、そのための道具です。AIが書いた初稿と、直したあとの最終版を比べて、初稿の何%が残ったか(初稿の生存率)を数え、くり返し直されている言い回しを執筆ガイドに足す候補として出します。

12記事の生存率の計測・集計と、この記事の作成は AI(Claude)が行いました。

先に結論: 12記事で、初稿の85.1%が残っていた

  • このサイトの12記事では、初稿の文の85.1%(文字数で数えた割合)が最終版に残った。 記事ごとでは72.9%〜96.6%だった
  • くり返し直されていたのは「言い切り」「予告の文」「安心させる締め」の3種類。 それぞれ6記事・6記事・3記事で直されていた
  • この3種類を、執筆ガイドに足す候補にした。 まだ足していない。ガイドに足すのは運営者が承認してから
  • 生存率は品質の点数ではない。 低いのは直しが多かったというだけで、目的は「同じ直しを二度させない」こと

差分学習スキルでできること

表: 差分学習スキルでできること
項目 内容
入っている場所 テンプレート Lv.3 の .claude/skills/diff-learning/ と scripts/survival_rate.py
比べるもの AIが書いた初稿と、レビューや手直しのあとの最終版
出るもの 生存・改変・脱落の割合、直された文の組(初稿 → 最終版)、消えた文の一覧、執筆ガイドに足すルールの候補
しないこと 記事の本文は書き換えない。執筆ガイドへの追記は、運営者が承認したものだけ

ファイルはテンプレートのページから読めます。Lv.3 のほかの部分(採点ゲートと書き直し)はLv.3 の記事で説明しています。同じ Lv.3 のリンク切れの点検は、リンク健診の記事にあります。

いつ使うか

スキルの説明には、次のときに使うと書いてあります。

  • 「差分学習して」「初稿生存率を出して」「初稿と最終版を比べて」と頼んだとき
  • 運営者が記事の本文に自分で手を入れたと分かったとき
  • レビューと書き直しのループが終わった直後

頼まなくても、書き直しのループが終わったあとに、AIのほうから使うことを持ちかける作りです。Claude Code には次のように頼みます。

AIに送る文
差分学習して。対象は content/articles/pomodoro-timer.md

準備: 初稿のコピーを残しておく

比べるには、直す前の初稿が要ります。テンプレートの執筆ガイドには、新しい記事の初稿ができた時点で、レビューを反映する前に reviews/drafts/{slug}_initial_{日付}.md へコピーを保存する決まりがあります。

初稿が見つからないときは、スキルは計測をしないで止まります。Git の最初の版を初稿の代わりにする手もありますが、レビューを反映してからまとめて記録している場合、その版はもう初稿ではありません。そのときは運営者に確認するよう、スキルに書いてあります。

流れ: 数える → 分ける → 提案する → 記録する

表: 流れ: 数える → 分ける → 提案する → 記録する
段階 すること
1. 初稿を探す 指定されたファイル → reviews/drafts/ のコピー → Git の初版の順に探す
2. 数える survival_rate.py で初稿と最終版を文ごとに比べる
3. 分ける 直された文を「AIのクセ」「水増し」「事実の誤り」「言葉の好み」「構成」に分ける
4. 提案する ルールの候補を3〜7個出し、運営者が承認したものだけをガイドに足す
5. 記録する data/diff_learning_log.md に1回1行で生存率を残し、前より上がったかを見る

数え方

スクリプトは、初稿と最終版を「。」「!」「?」と改行で文に分け、10字未満の文と表の行を外します。初稿の文ごとに、最終版でいちばん似ている文を探し、似ている度合い(0〜1)で3つに分けます。

表: 数え方
分類 似ている度合い
生存 0.8 以上
改変 0.5 以上 0.8 未満
脱落 0.5 未満

割合は文の数ではなく、文の字数で重みを付けて出します。

bash
python -X utf8 scripts/survival_rate.py reviews/drafts/pomodoro-timer_initial_20261001.md content/articles/pomodoro-timer.md

ポモドーロタイマーの記事の結果(直された文の例は省いています):

AIに送る文
# 初稿生存率レポート
- 初稿: reviews/drafts/pomodoro-timer_initial_20261001.md(127文) / 最終版: content/articles/pomodoro-timer.md(150文)
- **生存 85.2% / 改変 8.9% / 脱落 6.0%**(文字数加重)

どの直しをルールにするか

スキルは、直しを5つに分けて扱いを決めます。事実や数値の誤りはルールにしません。書き方の問題ではなく、調べ方の問題だからです。ルールにするのは、どの記事にも出そうなAIのクセと、言葉の置き換えです。1つの記事だけの話は、一般化してからルールにします。

足すときは「❌AIが書きがち → ⭕こう書く」の形にして、ガイドに同じルールがないかを先に検索します。

このサイトで測った: 12記事の生存率

このサイトの reviews/drafts/ には、2026年10月1日と10月5日の初稿が14本あります。それぞれ2026年10月12日時点の記事と比べました。

表: このサイトで測った: 12記事の生存率
記事 生存 改変 脱落
無料で公開する方法と、サーバーが要る人の目安 77.1% 12.6% 10.3%
noteから独自ドメインへ 93.4% 3.8% 2.9%
サイト名とドメインの決め方 87.7% 6.0% 6.3%
1つの契約で、複数のサイトを動かす 75.7% 19.7% 4.7%
生成AIで何ができる? 86.3% 10.6% 3.1%
ポモドーロタイマーを作る 85.2% 8.9% 6.0%
月のCSV集計をAIに任せる 78.1% 14.5% 7.4%
AIでブログ記事を書く手順 92.9% 5.7% 1.4%
ローカルAIとは? 78.8% 10.0% 11.3%
ブログ記事をAIに採点させる無料プロンプト5本 72.9% 19.4% 7.7%
AIで文章を校正・言い換えする 96.0% 3.7% 0.3%
割り勘・会費計算アプリ 96.6% 2.3% 1.1%
12記事の合計 85.1% 9.7% 5.2%

残りの2本(AIイラストと、AIで1曲作る記事)は、まだ下書きで直しが入っておらず、初稿と本文が一字一句同じでした。スクリプトは動き、生存率100%と出たので、集計から外しています。

このサイトで初稿を直したのも AI(Claude)です。法務・整合性・SEO・読者・機密のレビューの指摘を受けた書き直しと、2026年10月9日に運営者が決めた書き方のルールに合わせた直しが入っています。スキルの説明にある「AIの初稿と人の最終版」とは違い、「AIの初稿と、レビューで直した最終版」の比較です。

記事ごとの数字と、直された文の例は計測結果のファイルに置いています。

何が直されていたか

スクリプトが出した「改変」120組と「脱落」72文、計192件を AI(Claude)が1件ずつ読み、分けました。1件は1つの分類にだけ入れています。

表: 何が直されていたか
直し 件数 出た記事
言い切り・一般化を、確かめた範囲に絞った 10 6本
予告・前置きだけの文を消した 7 6本
「安心です」「大丈夫です」の締めを、確かめる時と相手に直した 5 3本
「人が試した体験ではありません」の断り書きを消した 6 6本
作業の主語を「AI(Claude)が」と書いた 5 5本
見出しに検索で使われる語や手順の番号を足した 4 3本
内部リンクの文言を、リンク先の今のタイトルに合わせた 4 4本
専門用語の初出に説明を足した 3 2本

残りの多くは、出典や「2026年10月1日時点」の追記、数字や事実の直し、文の移動でした。「時点」という語は、12記事の合計で、初稿より最終版のほうが7か所多くなっていました。

断り書きと主語の2つは、2026年10月9日にすでに執筆ガイドのルールになっています。リンクの文言はリンク先の記事のタイトルを変えたために起きた直しで、書き方のクセではありません。用語の説明は、ガイドにもう書いてあります。この4つは、新しいルールの候補から外しました。

言い切り・一般化

いちばん多かった直しです。確かめていないのに言い切る文と、一部にしか当てはまらないことを全部に当てはまるように書いた文が、確かめた範囲の言い方に直されていました。

表: 言い切り・一般化
初稿 最終版
バージョンが出れば準備完了です。 バージョンが出れば、入っていると判断できます(公式の案内ではない確かめ方です)
エラーは、そのまま AI に貼るのが一番早く直ります。 エラーは、そのまま AI に貼ると直す場所が伝わりやすくなります。
サイトを増やしても、SSL の費用は増えないと考えてよい状況です。 3社の公式ページを見た範囲では、サイトを増やしても SSL の費用は増えないと考えられます。
指摘の表の「直せる人」の欄には、2つの印があります。 confidentiality.md 以外の4本では、指摘の表の「直せる人」の欄に、2つの印が付きます。

予告・前置きだけの文

「この記事では〜を説明します」「下の表は〜です」のように、次に来るものを言うだけの文が消されていました。消しても、読者が受け取る事実は減りません。

表: 予告・前置きだけの文
初稿 最終版
この記事では、5本の使い分けと、冒頭の「サイトの情報」欄の埋め方、返ってきた点数と指摘の読み方を説明します。 (削除)
下の表は、その分類をこのサイトのカテゴリと並べたものです。 (削除。前の文にまとめた)
逆向きの移り方もあります。 (削除)

安心させる締め

「〜しておくと安心です」「気にしなくて大丈夫です」は、何をすればいいかが書かれていない締めです。いつ・どこで確かめるかを書いた文に直されていました。

表: 安心させる締め
初稿 最終版
契約の直前にもう一度公式ページを見ておくと安心です。 上の項目は契約の直前に公式ページで確かめてから、2つ目のサイトを追加してください。
公式ページで確認してください。 契約や設定の前に、各社の公式ページかサポートで確かめてください。

執筆ガイドに足す候補

上の3つを、執筆ガイドの「AIのクセ禁止リスト」に足す候補にしました。2026年10月12日時点では、まだ足していません。足すかどうかは運営者が決めます。このサイトの記事に残っていた予告文を直す作業は、2026年10月22日に始めました(結果の計測はしていません)。

  • ❌ 言い切り・全体への一般化(「準備完了です」「一番早く直ります」)→ ⭕ 確かめた範囲を書く(「公式ページを見た範囲では」「4本では」)。6本で10件直された
  • ❌ 予告・前置きだけの文(「この記事では〜を説明します」「下の表は〜です」)→ ⭕ 本題や表から書き始める。6本で7件消された。ガイドの「情報量ゼロのつなぎ文」に例として足す形にする
  • ❌ 安心させる締め(「〜しておくと安心です」「気にしなくて大丈夫です」)→ ⭕ いつ・どこで・何を確かめるかを書く。3本で5件直された

見出しに検索の語を足す直しは3本で4件ありましたが、ルールにするかどうかは、次の記事でも出るかを見てから決めます。

読み方の注意

  • 生存率は、書き足した分を数えない。 初稿の文が残ったかどうかだけを見る。生成AIで何ができる?は初稿82文から最終版160文に増えたが、生存率は86.3%だった
  • 表に移った文や、別の記事に移った文は「脱落」になる。 スクリプトは表の行を比べないため。無料で公開する記事では、ドメインの料金の話をサイト名の記事の料金表にまとめたので、その文が脱落に入った
  • 似ている度合いで組を作るので、ずれることがある。 中身が別の文が、言い回しが似ているせいで「改変」の組になったものが、192件のうち7件あった(順番の入れ替えだけのものを含む)
  • 12記事は2回に分けて書いたが、前と後の比較はできない。 10月1日の8本の平均は84.55%、10月5日の4本は86.1%。本数が少なく、レビューの回し方も違うので、ルールが効いたかどうかは言えない

使ったもの

表: 使ったもの
項目 内容
動かしたAI Claude Code 上の Claude Opus 5.5
スキル アリス編集室 Lv.3 の差分学習スキルと survival_rate.py(2026年10月12日時点の版。しきい値は既定のまま)
比べたもの このサイトの初稿14本(2026年10月1日・10月5日)と、2026年10月12日時点の記事。集計は直しが入っていた12本
計測結果 results.md

この記事の数字は、この1つのサイトの記録です。自分のサイトで使うときは、初稿のコピーを残すところから始めてください。

このサイトは Cloudflare Workers で公開しています → Cloudflare Workers で独自ドメインで公開する

この記事について

この記事でやった人

やったこと誰が
比べた12記事の初稿を書くAI(Claude)
レビューの指摘と、運営者が決めた書き方のルールに合わせて初稿を直す(最終版を作る)AI(Claude)(初稿を書いたのと同じ AI)
書き方のルールを決める(2026年10月9日)運営者
survival_rate.py で12記事の生存率を測り、改変120組・脱落72文を1件ずつ読んで分類するAI(Claude)
執筆ガイドに足す候補をまとめて記事にするAI(Claude)
執筆ガイドに足すかどうかの承認(2026年10月12日時点では未承認)運営者
公開前の目視確認と公開の判断運営者

料金や仕様は変わることがあります。検証日より後の変更は、各サービスの公式情報で確かめてください。